介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

通所介護の送迎は深入りすれば何より面白い業務である。

こんばんは。また週末にかけて台風が列島縦断していきそうな雰囲気ですね。まあ何とタイミングの悪い…。当然祝日である月曜日もわが施設は営業日になるのでそれに向けての対応を考える時間はありましたが、今週も同じような事をしていたのでそう慌てる事はなさそうです。どうなる事やら。

 

台風上陸、あなたの施設はどう対応しましたか? - 介護士こじらせ系

 

 

今日はデイサービスなど通所介護につきものである送迎について考える事があったので、家に戻ってからダラダラしつつ調べてたらこんな記事が。


通所介護サービスにおける「送迎サービス」の位置づけとは - 藍原義勝|けあZine by けあとも

 

思わず「うーん」と唸ってしまうような内容でした。

 

いや、内容自体は概ね間違った事が書いてある訳じゃないんです。ですが、僕のような小規模な、違う言い方をすれば中小企業的な施設にいる介護スタッフからしたらフロアスタッフが送迎にいくのなんて当然なんですよね。で、ここに書かれているようにただ運転すればいい、という仕事ではないので、僕は個人的には送迎専属ドライバーなんてつけてる施設の方が疑問です。運転のスキルはともかくとして。

 

送迎がやりたくない、そう考える人の気持ちは凄く分かります。だって、あまりにも気をつけなければならないポイントが多いんですもの。


介護職での、送迎の仕事、どう考えますか? : キャリア・職場 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

発言小町からです。うちの施設のパートの方でも、送迎はなしで、という条件付きで入られた方もいるくらいですから、こういう考えの方は本当に多いでしょう。

 

ちょっと送迎についての僕の考え方、というか指導された事を書いていきます。

 

言うまでもなく送迎は重要な業務の一つです。何が重要か、と聞かれたら困るくらいに要素が詰まっています。

ちょっと整理しながら書くと、

・利用者との関わり

・家族との関わり

・外部との関わり

の3つになるかな、と思います。

 

・利用者との関わり について

朝、ご自宅に伺って、顔色や話し方、その日のご機嫌、歩行の様子、手を引く場合は手の温度、など、車に乗っていただくまでにも多くの事が見えてきます。そして、施設に到着するまでの時間は声掛けをしたり、会話をしたり、様子を見ながら少しでも気分や機嫌が良くなるようにこちらが気を掛けながら車中を過ごしていただきます。今僕がいる施設ですと、認知が進んだ方が多いので、車中のそうした気遣いを誤ってしまうと施設に着く頃には不穏状態に、なんて事も十分にあり得ます。そうした点に気をつけつつ、ドライバーは速度はもちろん、路面状態を見て出来るだけ衝撃が少なくなるような導線を走ったり、あるいはルートを選んだりするわけです。ドライバーとしての走行中の気遣い、という意味では、「ガラス細工を運ぶようなもの」と教えられ、ブレーキの掛け方一つから注意された記憶があります。

それでいて、サービス提供時間に間に合うよう動くのも頭になければいけません。不測の事態でも起こらない限りは全ての事に注意しつつ、時間を組み立てながら一つ一つ行動する必要があります。

 

・家族との関わり について

担当者会議などに出席していない限り、送迎時が基本的にはご家族と接する機会となります。ご自宅におられる時の利用者の様子や変化などを会話から聞き出すのは当然の事で、コミュニケーションをうまくとって信頼関係が築けるよう心がけるのも重要な仕事の一つになります。会話だけでなく、ご家族が利用者とどう接しているか、どのような口調で話しているかといった関係性も読み取るよう意識します。

これは少し特殊なのかもしれませんが、利用者を看ておられるご家族からのガス抜き、つまり愚痴聞きなんかをやっていた事もあります。こちらが直接何かが出来るわけではありませんが、そうする事で少しでもご家族の気持ちが軽くなるように、そしてその先に少しでも長く継続してうちの施設を利用していただけるように、といった意味合いがあります。

また家族、というよりは生活環境という意味になりますが、ご自宅の設備の様子などを確認するのも一つの仕事です。玄関先の段差や階段、手すり、レンタルした福祉用具がどのように使われているか、などといったものですね。資料などからは分からない実際の様子を確認出来ますし、何より利用者とのコミュニケーションを図るうえでより具体的な会話の題材に出来ます。更に言えば、そこから不都合などを聞き出す事が出来れば、ケアマネなどに先手を打って提案出来る訳で、信頼を獲得する為の足がけにも出来そうです。

 

・外部との関わり について

基本的にどこの施設もそうだと思いますが、施設の名前の看板を背負って街中を走るので、走り方一つで端から見た信用を得る事も失う事もあり得ます。当然送迎車であれば駐車許可証やら歩道通行許可証なんかも取得しているとは思いますが、それでも道を塞いだ時の対応や接遇マナーが見られます。

デイサービス送迎車について、思うこと。 – 介護職員ナックルのスロット日記

こちらの記事で言及されている事なんかはある意味では日常茶飯事です。以前ネットリテラシーについて書いた時にも言及しましたが、普段狭い環境にいる分、こうした場に出た時の対応などは、本来であれば事前に施設からスタッフに伝達、教育するべきですよね。 

介護のネットリテラシー - 介護士こじらせ系

 

随分長々と書いてきましたが、僕のような経験の浅い人間でもこの程度には出来るだけ気をつけています。もっとベテランの方であればもっと気をつける点は多いのではないでしょうか。

だからやりたくない、という部分もあるのでしょう。でもね、僕は送迎って、とても面白い業務だと思うんですよ。やる事も多くて責任も重いですが、利用者一人一人に深入り出来て色んな事が感じられますからね。

施設の中で利用者を見ているだけでは分からない様々な事が常に感じられるし、うまくやれば誰よりも深く利用者やそのご家族と関わる事が出来るわけですからね。第一、責任感のある仕事はそれだけやりがいありますからね。

 

考え方によってはなかなかヘビーですが、なかなかルーティンになる事のない、刺激のある業務だと思いますね。面白いですよ。