介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

無届け介護ハウスから学ぶべき事

都道府県への届け出をしない、いわゆる”無届け介護ハウス”と呼ばれるものが急増しているそうです。


NHK NEWS WEB “無届け介護ハウス”急増

 

東京なんかだと、この記事にもあるように既に受け皿として機能する施設が足りていない状況で、そうした中での解決策の一つとしてこうした施設が増えてきているのでしょう。僕も以前記事にした杉並区と南伊豆町の取り組みも一つの解決策ですが、目の前の高齢者を助けるまでにはまだまだ時間がかかりますから、法的な是非はともかく、無届け介護ハウスがすぐになくなる事はなさそうです。


観光×介護?と甘く考えてたらちょっと違うかも?と思った介護移住。 - 介護士こじらせ系

 


自治体や医療機関からの斡旋も?急増する「無届け有料老人ホーム」「違法介護ハウス」に要注意!|みんなの介護ニュース

 

こうした注意喚起記事なんかも書かれています。当然の事ですが、法律の義務を怠っているという事もあって、批判的な内容が書かれる事はしょうがない事ではあります。リスクがどうとか、下手したらちょっとズレてる、あるいはどんな介護施設でも起こり得る事が書かれていたりもします。

少ないスタッフで介護業務を進めていくため、高齢者の身体拘束などを実施するなど、虐待まがいの行為に及ぶところもあるとか…。 

 こうした問題は通常の段階を踏んで開設される施設でも残念ながら起きてしまっているので、無届け介護ハウスへの批判としては微妙ですね。

 

 

当人たちが必要悪と言っている以上、全面的に肯定する事はあり得ませんが、それでも入居される高齢者はいるわけで、そうした存在がある以上、肯定される側面があるんですよね。

 

無届け介護ハウスのメリットってなんでしょう。

 

 

一言で言ってしまえば、記事にもあるように受け皿としての機能でしょう。特養や有料老人ホームという狭い器から溢れ、在宅でなんとか家族が介護する状態の高齢者、あるいは独居の高齢者、更には老健を転々とせざるを得ない高齢者などを受け入れる機能が備わってしまっています。

では、受け皿が受け皿たる理由はなんでしょうか。

 

・費用のメリット

空き家やマンションの空室、社員寮のようないわゆる居抜きの施設を利用する事でコストを削っており、それが入居者の負担を軽減する要因になっています。既にあるものを再利用し、コストカットする手法は、むしろ経費がかさんでしょうがない厚労省にとって見習うべき点があるのでは?と思ってしまいます。

 

・スピードのメリット

基本的に居抜きですから、0から建設する施設に比べて明らかに施設が始動するまでのスピードは早いはずです。数百人単位での待機をする高齢者の列を少しでも進行させるにはこうしたスピード感は必要でしょう。ちなみにこんな記事もあります。


隠れ介護1300万人の激震 エース社員が突然消える :日本経済新聞

 

介護サービスが機能しなくなるっていうのは、企業にダメージを与える可能性があるし、ひいては日本の経済に影響を及ぼす可能性だってあるわけです。こうした問題を切り離して考えているうちはなかなか大きな意味での介護問題は解決はしないでしょう。

 

・介護移住を避けるメリット

これは都心の高齢者に対して特にメリットになるのですが、施設が見つからない、といって入所させる事を優先させるあまり起こるのが介護移住です。絶対的な解決策になる、というわけではありませんが、少なくともある一定の層の人にとっては住み慣れた街を離れずに済むというメリットを生み出します。移住でない以上、家族が関われる可能性だって少なくはないはずです。

 

 

無届け介護ハウスが受け皿となってしまう理由を通常の段階を踏む介護施設が解消出来ない限り、必要悪は必要悪として、許されない、と断罪されながらも存在し続ける事でしょう。許されない、が解消される為にも、なぜ存在してしまうのかを一度精査してみるべきでしょう。僕の駄文レベルではなく。

 

 

 

蛇足的に。急増とありますが、そもそも何で急増したんでしょうか?低リスクで儲かるから?居抜きといい、儲かる要素は確かにありそうですが、実際どうなんでしょう。それとも、真剣にこの問題を解決したいと強く感じる人が多いから?そうであると願うばかりです。