介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

介護家族へのサポートとうつ病の人へのサポートは似ている。

介護には逃げ道が必要だな、と常に思います。

 

 

先日もこんな事件がありました。


介護疲れで病気の妻 殺害しようとした疑い NHKニュース

 

介護疲れで病気になった妻の看病に疲れた夫、というもともと直接介護を行なっていなかった人に介護を発端としたストレスのしわ寄せがきている事が事件を発生させています。介護に追い詰められた人がまた周囲の人間を追い詰めてしまう、という大変悲しい事件です。

 

また、こんなまとめ記事がありました。


認知症のばあちゃんと一緒に暮らしてるんだがもう限界かもしれん:ハムスター速報

 

まとめだけでなくコメント欄も読み応えがあるのですが、自分が大好きなおばあちゃんが認知症によって変わっていく中で、介護をする孫が自分の仕事や学業との狭間で葛藤する姿が生々しく、追い詰められた中での苦しみを感じさせます。

 

 

介護うつ、という言葉があります。介護によって精神を病んだ人がうつ病になってしまう事を指す、というのはもはや誰もが知っている事でしょう。少なくとも僕たちのような介護を仕事とする人間は、家族介護者がそうならないように少しでもサポートしていかなければなりません。同じような悲しみがこれ以上続かない為にも。

 

 

繰り返しますが、介護には逃げ道が必要です。

 

 

 

ところで、厚生省のサイトではうつ病の人への対応ではこのように書かれています。


家族、友人として|うつ病|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

自分自身を追いつめないで

本人の周りにいて献身的な人ほど自分一人でいろいろな問題を受け止めて疲れてしまうことがあります。ストレスをためすぎないようになるべく多くの人と協力して、時に休息をとれるくらいの余裕を作っておくようにしましょう。同じ環境で愚痴を話し合ったり悩みを共有したりできる家族会や家事などを手伝ってくれる人の存在なども助かります。

なんだか既視感があるなーと思ったら、介護をする家族にそのまんま当てはまるなーと。

 

 

介護うつに対して、というのはもちろんなんですが、そもそも家族の介護をしている、という時点で周囲の人はこうした事を意識して接していかなければならないのだな、と感じます。常にガス抜きする隙間を作ってあげたり、しんどいと感じたら逃げられるような場所を確保してあげるのは周囲にいる人間の出来るサポートです。介護が大変だとか、あるいは口には出さないけれど苦労している様子だ、という状態になってサポートをするのでは遅いのです。介護をしている、始めるという時点でそうしたサポートを常に周囲は意識するべきでしょう。

 

 

引用したまとめでは、最後まで家族で介護すべき、というコメントが批判を浴びていました。僕も、追い込まれて自分の生活がままならない状態になるまで介護はすべきではないと思うのでそれに同意します。匿名の掲示板とはいえ、家族介護の経験者が自分の経験を語ったり、あるいはある程度介護に関心を向ける人が大変さを理解してコメントするのを見ると、家族だけが背負って介護をする事に対する危険性が広まっているんだなと少し安心します。そうした人たちがもっと増えて、家族だけでなく周囲にいる自分も介護に関係するのだ、と考えて欲しいなと思います。

 

 

介護は今報酬改定の件で社会的にも注目を集めています。ネガティブな要素があまりにも強いですが、こうしたタイミングでこそ全ての人に、介護は自分にも関係があるという事、身の回りにいる高齢者にもっと目を向けなければならないという事を感じて欲しいものです。

 

僕が介護職である為介護への言及ばかりになりますが、ここで比較として出したうつ病の人に対しても同様です。

今はうつ病になるきっかけがあまりにも溢れている時代です。だからこそ、様々な場面で寛容さをもって欲しいなとも思います。