介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

キャリアプランから考える介護職不足について。

祖父の件で母から電話があり、話をしていて改めて介護職としての将来性について考えさせられました。というか、しっかり考えろ、と。そりゃー分かってますよー母上。

 

ところで、こんな記事がありました。


介護職員30万人不足の恐れ 25年度、厚労省推計 - 47NEWS(よんななニュース)

 

もはや、何を今更、という感覚ばかりが先行してしまいますが、この辺について今日は書いていきます。

視点としては、介護職のキャリアプランから、です。母から電話もらって改めて考えたから、というのもありますが。

 

 

 

当然の事ではありますが、誰しも自分のキャリアプランについては悩むものです。当然介護職であっても、です。今の僕と同じように、介護職としての自分の将来に不安を覚える人は少なくないようで、


介護職は定年まで続けられる仕事でしょうか?|みんなの介護Q&Aコミュニティ

 


介護職に就いている方。何歳くらいまで続けられると思いますか? 【OKWave】

 

とまあ、それなりに出てきます。基本的に体を使う仕事である以上、自分の体がもたなくなってきたら、という不安を覚える気持ちは良く分かります。そうした不安感に対して様々な場所で示されるキャリアプランとしては、

 

1.ケアマネ資格を取得

2.サービス提供責任者になる

3.事業所長になる

4.施設長になる

5.看護師資格を取る

6.PT、OTになる

7.事業所を立ち上げる

 

大体この辺が基本となるようです。

参考:介護業界でのキャリアアップ

 

ここに、社会福祉士の資格取得や福祉用具専門員になる、あるいは大手であれば本社勤務の運営、なんてものも含まれてきます。

資格などに関わらずとも、給与上昇などに関係する介護職のキャリアパスというものも以前からずっと議論されているもので、


厚生労働省「キャリアパスモデル等の公表について」のご紹介 | 介護・福祉事業者向けシステム「福祉の森」

 

少し前のものですがこうした記事があったり、あるいは一法人が出しているものとしては、

https://www.amille.jp/top/write/files/080213.pdf

https://www.amille.jp/top/write/files/080213.pdf

 

こうしたものが検索すると出て来ます。

この是非はともかくとして、こうした形でキャリアパスの考え方を世間に公表出来るほどに練っている施設は多くはないでしょう。ですが、この辺に問題があるような気がします。

先に挙げたキャリアプランの7つは、

 

・年数がかかる

・お金がかかる

・狭き門である

 

という点があります。年数はともかくとして、介護職を続けながらそれなりの資金を集める事はなかなか難しいですし、同じようにキャリアプランを考える人がいる中で競争していくのは当たり前の事ですから、その競争に勝てないと…となります。

要するに、上記のようなキャリアプランに乗っかれない人には厳しい道が待っている、という事になります。

 

 

もちろん、福利厚生や職場環境が整っている職場であれば必ずしも厳しいとは言い切れないとは思います。ですが、先の介護報酬の引き下げによって多くの介護職の方が嘆いたのはこうした不安感が背景にあるからではないでしょうか。

 

介護の場合、よほど大きな施設でもない限り中間管理職のような人がいる必要性が薄いですし、また仕事の性質上具体的な成果を数字で示す事も出来ませんから、営業職のような成果主義を取る事もほぼ不可能でしょう。誤解を恐れず言えば、振り切った努力を出来ない介護職員はいつまでも何も変わらない、という事になります。

 

 

誰にでも、どんな職業においても全ての努力に成果がついてくるわけではありません。平均収入が他の業種に比べて低い介護職の人は、こうした努力が実らない限りはいつまでも待遇の悪い状態が続きます。キャリアパスを設定出来ていない施設であれば昇給も見込めない事でしょう。

 

 

理想があるのは重要ですが、そこからはみ出してしまった時のリスクマネジメントも重要です。それを考えた時に、仕事としての介護にはリスクが大きく伴います。介護職員が不足してしまう原因には、こうした自分自身のキャリアプランを描く事の困難さがあるのではないか、と思うのです。

 

 

誰にだって人生設計があります。そこにキャリアプランがリンクしてこそ、例えば結婚して家庭をもち、子どもがいて…という具体的なストーリーが構築出来るわけです。介護を仕事として選んだとして、先に挙げたキャリアプランに乗っかれない人全てがこうした人生設計を否定されるような状態では、あるいは外から見てそう予測させるような業界であってはいつまでたっても人はやってこないでしょう。

 

 

やりがいだとか楽しさだとか、そんな綺麗事ではなくて、いろんな考え方の人が自分の人生を託せるような介護業界になって欲しいな、と思います。