テクノロジーが侵食する介護に期待したい。
インターネット先生の次回作にご期待ください | 辺境社会研究室
この記事がすごく面白かったです。インターネットが場所や人脈やコネや格差を解消してくれると思ったら全然そんな事なくて、アナログな現実社会がデジタルの世界を飲み込んできていて…というような記事です。
この記事ではインターネットを取り上げて語られていますが、テクノロジーに置き換えても結構同じような事が言えたりします。
思えばカルチャーの世界では技術革新というのは必ずしも全面的に肯定されて取り上げられる題材ではなくて、例えば映画「ターミネーター」シリーズなんかは知能をもったロボットと人間との闘いをベースにストーリーが作り上げられているし、「ブレードランナー」なんかもそうですよね。
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あるいは星新一なんかのショートショートでも、朝起きてから全ての身支度を自動でしてくれて、出勤も職場まで直通のチューブで自動で送り届けてくれるんだけど、会社について初めてその人が死んでいるのが分かった、なんて話がありました(タイトルなんでしたっけね?)。
どうも多くの人は、行きすぎたテクノロジーには、例えそれが完璧なものだったとしても言い知れぬ恐怖心だったり、あるいは反発心を抱かずにはいられないようです。上記の作品はそうした恐怖心を形として具現化してみたり、あるいは皮肉っていたりするわけで、そうしてテクノロジーの暴走に対する警笛を鳴らしているのです。
介護の世界も例外ではないですね。同じくカルチャーから取り上げるのであれば以前にも取り上げた「老人Z」がそれにあたります。
結局のところ、アナログ信仰というものがどこかに必ず潜んでいて、その辺りがデジタルな世界を押さえつけているようなものなのでしょう。
デジタルな世界ではフラットであるはずでも、過去に事例があるものに比べて未知なものに対しては経験則が飛び込む事を押さえつけたりしますからね。
介護用のロボットなんてそうした価値観に晒される筆頭な気すらします。そもそも介護自体人と人っていうアナログそのものなわけですが、それにしてもテクノロジーが遅れているような感じがします。
それこそ「老人Z」のロボットみたいなのは勘弁ですが、例えばパワードスーツみたいなものって現場で重用されるべきだと思うんですよ。無理な姿勢で利用者を持ち上げたりして腰とか壊しちゃ元もこうもない。以前の記事で僕自身「こういうのより先に給料上げて…」なんて書いてたりしますが(笑)、これは怪我の経験とかない人の話で、そういう経験があったり、力がない人にはやっぱり重要です。
海外じゃ利用者を持ち上げるのはリフトでなければいけない、なんて国もあるくらいなので、人の温もりが、なんて考えはある程度のところで切り離さなきゃいけないんですよね。
何より国は在宅で介護をしてもらう方向性になっているわけじゃないですか。在宅で介護するなら余計お金をかけてテクノロジーの恩恵を介護者に受けてもらわなければ、と思いますね。
在宅介護は、地域社会の協力だとか、ボランティアの力で、とか不明瞭なアナログに頼って出来るものじゃないと思います。介護職が足りていないからとか、お金がないからっていうネガティブな理由が透けて見えて仕方ない。それならいっそ技術大国らしく介護ロボットの開発と普及に投資して高齢化社会のモデルケースを作るくらいの方が国として示しがつきそうな気がします。
家族を介護する人全てが在宅でパワードスーツを着て介護して、みたいな。あるいは訪問ヘルパーの制服が会社のデザインのパワードスーツ、みたいなのまで想像するとちょっと笑えますが。
なんて絵空事を冒頭の記事を読みながら考えたわけです。まあ進化してきているのは確かなのでまだまだこれからですよね。