介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

介護記録の正直さと経営の狭間。

こんばんは。

 

今日は今村昌平監督作品、「復讐するは我にあり」を観ました。今村作品は昔うちの父親に「うなぎ」を観せられて以来なので、ほぼ初めてと言ってもいいくらいの鑑賞でしたが、面白いですねー。こういう感覚で観る事が出来るとは思いませんでした。やはり現在に至るまで残る作品には理由がありますね。もっと観てみようと思います。

 

あの頃映画 「復讐するは我にあり」 [DVD]

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さて、通所施設であれば必ずつきものの一つになるのが連絡ノートなど、家族との連絡ツールです。最低限押さえる点だけ押さえてあれば形式なんてありませんから、施設によってかなり違いがあるかと思います。うちの場合は、バイタルと食事、トイレ、コメントくらいのものでしょうか。あまり他の施設のものを見る機会はないので比較するのが難しいのですが、うちの場合はコメント欄で利用者の細かな様子の変化など体調面を記入したり、あるいはテレビや音楽、本、遊び、職員との会話の中で反応が良かった事を書くなどしています。

そこには、家族はもちろん、家族を経由してのケアマネへのアピールの色合いもあって、常に詳細まで見ていますよ、と示す事で施設の評価を上げるように意図しています。だから時には、こんな会話をした、このテレビ番組に反応した、こんなお話をしてくれた、というような、重箱の隅をつつくような内容を書く事もあります。

 

今日頭をもたげているのは、どこまで正直に、率直に書くべきなのか、という事です。

もちろん嘘を書く、という意味ではありません。例えばその日たまたま暴言が多い方がいたとして、ノートにそのまま暴言が多かった、と書く事が果たして必要なのか、というような事です。

 

今日はとある書き込みを元に、結果的に利用者の利用日数が減るだろう、という話がありました。内容に嘘があったわけでもなく、もちろん職員の対応が悪かったから、という事でもありません。様々な事情が重なる中で、結果的に理由の一つとして使われたのでは、という見方を現状ではしています。そのためご家族を非難する事はありませんが、僕たちは改めて、どこまでご家族に伝えるべきか、どこまで率直に施設での様子を伝えるか考えさせられているわけです。

 

高齢者の介護では、医療や介護、ケアマネ、ご家族などが出来る限り一枚岩にならなければ真の意味でその方の為にならないわけで、一枚岩となるように、担当者会議などを重ねて意見交換などをするわけです。

ですが、そこに経営という視点が入ってくると、事情が全く変わってきます。良い部分にスポットライトを当て、その影に本当に都合の悪い部分を覆い隠してしまう事によって取り繕う事も時には必要になってきてしまいます。

結果として、今日は家族が来るから、ケアマネが来るから、見学があるから、という但し書き付きで対応を変えるよう指示が入る、なんて事もざらになるわけです。

 

医療における告知と一緒で、真実をありのままに伝える事がメリットとなるのか、あるいはデメリットとなるのかは蓋を開けてみるまで分かりません。ただ、現状では極端な言い方をすれば正直者が馬鹿を見る、というのが先行しているようにも思えます。

 


身体機能の見通し、45%が説明受けず- 通所リハ利用者、厚労省調査 | 医療介護CBニュース

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副次的に物事を見るとき、見方によって正解が正反対になるなんて事はよくある事ですが、人の人生を預かる仕事において何が正解かの判断がとにかく難しい、と今日は思ったのでした。