介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

おばあちゃんすげえ!

僕はお酒が大好きです。正月は地味にやらかしてしまい、わずかに10日ほどの断酒を敢行していましたが、今日は夕方遅くまで外にいたせいもあり、耐えきれず、近所の某所にて熱燗を飲んでいたわけです。意志の弱い僕。

 

そこを切り盛りするのは80歳を超えたお婆さん。天気が悪くない限りは毎日営業し、店を開く前の時間には仕込みだけでなく、近所のスポーツジムで泳いでから出てくるほどの元気印のような人です。最近ジムの若いトレーナーに泳ぎを褒められたそうで、余計に生き生きとしていました。

 

お店はもうすぐ50年。そこまでは続けたい、となんとか踏みとどまって頑張っている、というような雰囲気を醸し出していますが、実際のところはまるでそんな事も感じさせずピンピンしていて、真似したけどこの味は出せない、と常連さんに言われるほどに自分の味を守り続けているお方なのです。普段接する要介護の高齢者と比べたら、化け物か、と突っ込みたくなるほど。近所のお店のママについても、まだ若いから、と言いますがその人70過ぎてる、という具合なわけです。

 

 

そんなお婆さんと話していると、仮にも介護職、プロとして高齢者に接している僕ですが、歳を重ねるという事に関して全く歯が立たないなーと感じるわけです。

 

 

僕が記事の中で言葉にすると大した事ない事のようになってしまうのが悔しい限りなのですが、今日言われたのは、

「年寄りほど外に出て飲まなきゃいけない」

でした。

 

曰く、

「今までお客を見ていて、俺は家で飲む、と頑固に言い出した人ほど脳梗塞なんかをやらかしてダメになる。酒を飲んでも動かなきゃアルコールが体に溜まって毒だ。飲むなら外で飲んで人と話して動いて発散しなきゃいけない。年寄りほど外で飲まなきゃならん」

だそうです。

 

 

経験則として外に出る重要性を分かっている人がこのお婆さんだけでなく、おそらく他にもたくさんいるだろうに、勝手に科学的根拠だなんだと言ってわざわざ遠回りする医療福祉の業界ってダメだよな、と思いました。

 

 

利用者の話から学ぶ事がある、と介護におけるやりがいだとか面白さなんかで語られる事がありますが、具体的にどんな事を聞いた時に「学べた」と思うのでしょうか。もしかしたら、自分の世界の範疇の中に収まる事を高齢者の口から聞けた、と言う時に、後ろ盾を得た、という事を勘違いして「学習出来た」と感じる事はないですか?

正しいかどうかまだまだ定かではない介護における常識から外れたものに対しては、何をおかしなことを、と切り捨ててはいませんか?

認知症の高齢者に対しての会話での対応においては、無闇に利用者の話を否定しない、というものがあります。それは正しいと思います。ただ、それが正しい対応だからと、自分が少しでもおかしいと感じた瞬間に適当に受け流したりしてはいませんか?

 

現役バリバリに働く高齢者と認知症になった高齢者を同列に並べて比較するのは少しおかしいかもしれません。ですが、だからといって話す内容に対しての対応に差をつけるのが正しいかと言えば、そうではないでしょう。

 

 

一見おかしな事を言う認知症の利用者の話に対して、自分の中でおかしいと断定して対応するのではなく、心のどこかに、ほんの少しであっても、その話を信じるくらいの気持ちをもつくらいの心構えで対応するのが正しいのではないか、と今日感じたのです。可能性は限りなく低くとも、正しいのかもしれないのですから。