中途半端な”意識高い系介護士”が業界の足を引っ張る?
こんばんは。ひっそりとしていようと思っていた土曜の夜。同僚からのビールの写真のせいで絶賛家飲み開催中です。
さて、介護関係の法改正がホットな話題となっている昨今です。業界内だけですかね。以前から待遇を変えた方が良い、とごく当たり前の主張をしている僕ですが、法律が変わるに当たって厚労省大臣に署名を提出そうで。
介護報酬引き上げを求める署名19万924筆を厚生労働大臣へ提出|けあNews by けあとも
普段からの動きを追いかけているわけではないので何とも言えませんが、こうしたタイミングでないと報酬引き上げについての主張が取り上げられないというのは寂しい限りですし、このタイミングで、という事でかえってマイナスのイメージに取られてしまわないかが心配なところです。いずれにしても19万人超という数字と、そこに関われなかった潜在的な数字の重みを感じて欲しいですね。
重み、という意味ではこうした記事から現実的な現場の考えも汲み取って欲しいところ。
介護職員の7割が「事故」経験 厳しい労働環境が原因 - AGARA紀伊民報
特にこの辺が厳しさを物語っていますね。
事故の内容(複数回答)で突出して多かったのは「目の届かない所での転倒・転落」で68人。事故経験者の8割以上が該当した。次いで「利用者同士のトラブル」「介助中の事故」がいずれも28人、「薬に関わる事故」が24人だった。
事故が起きる原因と思うもの(複数回答)については、「現場の忙しさ」が最多で、108人のうち約6割の65人が答えた。「人員不足」52人、「知識や技術の未熟さ」51人、「職員のモラル低下」22人と続いた。
人員不足や忙しさは事故のほか、サービスにも影響している。「利用者に十分なサービスが提供できているか」という質問では「あまりできていない」「できていない」が合わせて約3割となった。その理由(複数回答)としては7割近くの人が「人員が少なく、業務が過密になっている」と答えた。「自分の能力や技量の不足」が約5割、「スタッフ間の連携、意思疎通が悪い」が約4割だった。
介護職の方々が思い詰めているような状況が目に浮かぶようなアンケート結果ですね。
厳しい現場環境が、とありますが、もう一歩突き詰めてみましょう。
二つの事実がこの結果から見えてきます。
一つは介護職員の自己評価の厳しさです。これはどの解答からも伝わってきます。これは全ての介護士が答えた物ではもちろんなく、一部の対象者が答えた物です。こちらの記事は和歌山県の調査結果ですが、おそらく一部の地域だから、というものではないでしょう。大抵こうしたアンケートがくる場合にはある程度の立場のスタッフが対応するものですから、余計背負った責任感であったり、自己評価を低くする姿勢が垣間見えるものです。
厳しい環境の中で、自分たちが何とかしなければ、自分たちが先導してよくしていかなければ、と重く考えているのが滲み出た結果がこれでしょう。
もう一つは、そうした抑圧された環境の中で起こる「自分より下を見下す」というような状況です。
「人員不足」52人、「知識や技術の未熟さ」51人、「職員のモラル低下」22人と続いた。
この辺の解答結果が該当しますね。
人間は自分より弱い人間を見下す事で安心感を得てしまうようなものです。自分が様々なシチュエーションから追いつめられて弱ってしまっていては余計にそうです。手近なところからインスタントな安心感を得てその場をしのいでしまいます。そしてその事で大局的な不安感から一時的に逃げて自分の気持ちを落ち着けるのです。「あんな奴がいるから」「あれだけ出来ない人がいるから大丈夫」って具合ですね。
二つ挙げたうちであれば、圧倒的に後者が問題ですね。成長しないんですよね、個人としても、その個人の集まりである集団としても。結局、意図してなかったとしても、そうして見下してしまう事でその人の成長を妨げる一番の要因になってしまうわけですから。
皆さんの周りにはいないでしょうか。時折愚痴るように自分の所属する施設の改善点を挙げたり意見を出したりしつつも、周りの仕事の出来ないスタッフの文句を言うような、中途半端に仕事がこなせちゃうような人。
そうした”中途半端に意識高い系の介護士”が現場を一番疲弊させる、ひいては業界の足を引っ張る存在な気がします。
自己評価が厳しいのは結構ですが、そこで抱えきれない不満を弱い立場の人に当てつけてしまうというね。
突き抜けて介護で頑張ろうと思うのなら、自分だけではなくて周りの人たちを引っ張り上げるくらいにパワフルでありたいものです。それこそ、中途半端に愚痴が出ないくらいに。
てな具合にアンケート結果を見てやや妄想記事的なものを書きました。記事の抜粋が足りてなくて恣意的であったり、それによって今回の記事が的外れな事を願って。そして何より自戒を込めて。