介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

新制度における加算と我が施設の日常について

4月に入って、新しい介護保険制度でのサービス提供が始まりました。何か変わった?いや、何も変わりません。法律が変わってサービスが急に変わるなんて事は当たり前ですが現場レベルではあり得ません。事務処理の部分では上の方で一部訂正やらなんやらで動いているようです。

そうそう、なんだかんだ給料の部分は、うちは上げる形になりそうです。何より。

 

 

さて、認知症加算やら中重度者ケア体制加算が絡むという意味で、うちの施設のような小規模で要介護度が高く認知症の進んだ方が大半を占めるデイサービスがどういった形の現場になっているかというのは注目されていくだろうな、と思います。現に上記の加算の話が情報として入ってから、それに反応したケアマネが利用者を一人新規で連れてこられましたから。

って事で、現状現場こんなよ、というのを羅列していこうと思います。

 

 

まず最初に改めて、それぞれの加算の要件を確認すると、

認知症加算(新規) 60単位/日

算定要件等

・ 指定基準に規定する介護職員又は看護職員の員数に加え、介護職員又は看護職員を常勤換算方法で2以上確保していること。

・ 前年度又は算定日が属する月の前3月間の利用者の総数のうち、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の利用者の占める割合が100分の20以上であること。

・ 指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる認知症介護指導者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修等を修了した者を1以上確保していること。

 

 

 

中重度者ケア体制加算(新規) 45単位/日

算定要件等

・ 指定基準に規定する介護職員又は看護職員の員数に加え、介護職員又は看護職員を常勤換算方法で2以上確保していること。

・ 前年度又は算定日が属する月の前3月間の利用者の総数のうち、要介護3以上の利用者の占める割合が100分の30以上であること。

・ 指定通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる看護職員を1以上確保していること。

 

デイサービス、基本報酬大幅減 認知症加算は1日60単位 of 介護・地域包括ケアの情報サイト Jointより引用

 

 

こんな具合です。まず認知症加算から見ていくと、小規模施設における人員配置の指定人数は

小規模デイサービスの場合(利用定員が10人以下)

1.管理者 1名(常勤) 
2.生活相談員 1名以上 
3.看護職員、又は、介護職員 1名以上 
4.機能訓練指導員 1名以上

デイサービスの人員基準 通所介護/介護ビジネス開業サポート

 

がベースにあり、その上で先の人数配置になるので、この字面通りに見れば4+2で6人って事になってきます。ちなみにここは中重度者の方でも同じですね。

で、日常生活自立度Ⅲ以上の方の割合が100分の20以上とありますね。一応確認しますと、

「日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが主に日中を中心に見られ、介護を必要とする状態」

認知症高齢者の日常生活自立度とは | 認知症ねっと

 

です。自力での食事や排泄が困難な人がこの数値での割合で占める事になります。

 

3つ目の要件については、うちは受講者がいないので確認出来ません。ただ、これを受ける為に安くはない費用がかかってしまうので、果たしてそれに見合うものなのか?という見方もあるにはありますが…。

 

 

って事で2つの要件を元にうちの現状を書くと、日常生活自立度Ⅲ以上の人がほぼ全般なので人員配置は以前から最低限の人数より確実に多めに配置され、ほぼマンツーマンで対応出来るように運営されています。なので、条件としては件の講習を除けばクリア、という事になります。

 

 

中重度者ケア体制加算についても、人員配置、要介護度の要件ともにクリアしています。

 

 

 

一応、体裁としては以前からクリアしているんですよね。そんなうちの現場です。

 

 

 

 

んじゃ、現場レベルだとどうか、というのを人員配置、利用者の状態の2つから見ていきます。

 

 

①人員配置について

・職員が足りなくなる

→例えば入浴介助で一人の利用者に二人の職員、トイレ介助でマンツーマン、歩行介助で一人の利用者に二人、なんて事は日常茶飯事です。この場合だと一対一の人員配置では足りません。当然そこに食事の準備だとか雑務を行う人もいるわけで、時間帯が重なると慌しくなります。マンツーマン以上でも関われない利用者が出てくる事もしばしばです。

・職員が余る

→上とは真逆です。例えば五人利用者がいて、うち三人が昼寝、一人は塗り絵、一人は雑談となると、マンツーマン以上の配置では明らかに人が余ります。上手くいかないもので、そうした時に雑務が少なかったりして暇を持て余す場合が少なくありません。何かある時の為に待機、とは聞こえが良いですが、仕事の分配が悪いと、いや悪いわけではなくても人余りが起こる事はしばしばです。

 

こんな具合ですから、全ての職員を常勤で、というのは簡単ではないでしょう。人件費がかさむからです。かといってパートばかりで加算の条件を満たそうにも、利用者が急変して減るなんて事もこのレベルでは少なくありませんから、常に多めに確保するというのはかなり難しい話です。経営者(管理者)が日々の利用人数を上手くコントロールするのが肝要です。人数マックスでいくなら常にマックスでいく、とかですね。増減が激しいと通常の通所介護より難しいような気がします。

 

②利用者の状態について

・全員が活発になる

→この状態の人たちが活発になるというのは、メリットでもありデメリットでもありえます、正直。

人によってはマンツーマンでは間に合わないので余計に職員が対応しなければなりません。歩行が不安定なのに徘徊したがる人には常に注意が必要になりますし、元気なようで、ちょっとした事で一気に不機嫌になったり怒り出したりするのでメンタル面でのケアも欠かせません。また、活発になった利用者の状況如何によっては、そのせいで他の利用者が怒り出す事もありえます。奇声を上げ続ける人がいれば怒る人だっています。じゃあそうした人を隔離、押さえ込めば解決は簡単かもしれませんが、それじゃそもそも介護の意味がありませんよね。隔離出来る程大きな施設ならそもそもマンツーマン的な対応なんて出来ませんから、その辺にジレンマがあるわけです。

 

・全員が穏やかである

→まずないです。

 

・誰かが体調を崩す

→そこに注意がいってしまうと他の利用者への注意が緩慢になりかねません。どうしても体調不良の利用者に対しては注意やケアがいってしまうので、それに拗ねる人だっているわけです。やたら注意を引きたがって声を掛けたり大声を出したりする人もいます。こういう時に限って、と思わせるような行動をとる人が案外いるものです。

 

 

 

自分でいうのもなんですが、うちの施設は微妙なバランスの上で成り立っています。だから、例えば急に需要が増えて利用者が増える、と言われても、例え定員が空いていたとしてもすぐに対応するにはあれこれ調整が必要になってきます。逆に減ってしまうと途端に職員、特にパートの人に出勤日数なんかでしわ寄せが向かってしまいます。個人的に、ある程度基盤がある状態でないとこうした加算に対応した運営というのは難しいんじゃないかな、と感じます。

穏やかに過ごせる方々ばかりが利用して、そうした人たちに常に誰かしらが声かけや会話が出来て、というのからはかけ離れた世界が認知症対応型では常に繰り広げられるわけで、これから上記二つの加算をとっていく施設はどんな事をやっていくのか今から僕は興味津々です。嫌な意味ではなく、参考にできる部分があればどんどん真似出来れば、と思うのです。