介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

介護は宇宙ほどに距離のある出来事じゃない。

こんばんは。今日は帰ってきてから、映画「悪の教典」を観ました。染谷将太二階堂ふみはやはり良いですね。雰囲気がある。「ヒミズ」で初めて観てからは、ずっと気になる俳優さんです。あとやっぱり伊藤英明ファンニステルローイと瓜二つだ。

 

 

 

 

心理学の世界には、カクテルパーティ効果と呼ばれるものがあるそうで、wikipediaから引用してくると、

 

カクテルパーティーのように、たくさんの人がそれぞれに雑談しているなかでも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる。このように、人間は処理して必要な情報だけを再構築していると考えられる。”

カクテルパーティー効果 - Wikipedia から引用

 

だそうです。

 

介護の現場の視点から言うと、認知能力の衰えた高齢者は若年世代の人と比べて一つ一つの状況を把握するまでに時間がかかってしまうため、普段僕たちが会話をする時のように、名前を呼ばなくても雰囲気で自分に話しかけているんだな、と察する事が難しくなります。だからこそ、しっかりと相手の目を見て、時にはスキンシップを取りながら、声掛けをする事が必要不可欠になってきます。ユマニチュードなんかでもやはりこの点は触れられていますね。

 

 

 

加えて言うと、うちの施設では比較的認知症の進んだ利用者が多いので、よりその利用者が反応しやすい呼び方、というのを意識する事もあります。多分一般的に言えば、必ず敬称をつけるように指導されるのだと思いますが。要は、如何にその利用者に「自分に何を言われているのか」を素早く認識してもらうのかが優先されている、という事です。とある利用者がショートステイを利用した際に、うちで呼ばれている愛称で呼ばず名前に敬称付きで声掛けしたらかえって不穏状態になってしまった、なんて事例もあります。特にその方の場合はご家族もその辺り理解してくださっていたのにも関わらず、職員が施設の決まりを優先したがためにそうなってしまったんですよね。どれが正しいのかはちょっと分かりません。

 

で、ここからが本題なんですが、名前をお呼びするのと同じように利用者の注意を惹くために、利用者ごとにその人が反応しやすいキーワードというのがあります。全般的に、というには僕は経験が少なすぎるのでなんとも言えないのですが、認知の進んだ方に関しては特にそうした声掛けをする事で自分に注意を向けさせるようにしています。

 

それは例えばその方のご家族の名前だったり、それまでのお仕事に関する単語だったり、あるいは趣味や、遊んできた事など、でしょうか。もしかしたら人によってはお金、とか、女遊びが、とか、そういった物事にまつわるキーワードで声掛けされるかもしれません。

 

なんでこんな事を言うのかというと、今自分が執着しているものが将来介護される立場になった時に返ってくる可能性があるという事を頭の片隅に入れてほしいと思うからです。というよりも、介護は誰にとっても身近な出来事であり、宇宙ほどに距離のあるものではないという事を認識してもらいたいのです。

 

じゃあ今からどうしろという訳では当然ありません。将来を意識して今のライフスタイルを変えるなんて、到底出来るものじゃないし、するべきじゃない。

 

繰り返しになりますが、僕の思いとしては介護という概念を、将来こうなりたい、こうしたい、こんなライフプランを描いている、と思い描く中に自然に入り込むくらいに身近なものにしてほしいのです。自分の熱中している事が、今の仕事が、趣味が、執着しているものが、将来の自分自身の介護に結びつくかもしれないのです。

 

あなたがカクテルパーティで聞き分けるキーワードは何でしょうか。