施設統合、資格統合について
介護福祉士と保育士と准看護師の資格を将来的に統一する、規制緩和で併設施設を増やしたいという厚労省の検討事項の報道がなされてしました。
取り上げてる方もおられました。
介護福祉士と保育士と准看護師を統一化。 - 男の介護ヘルパー
元のNHKの記事タイトルも「人手不足〜」なんてつけてしまうのでなおのこと印象が悪いばかりです。
それぞれの資格保持者が出来る事は当然違っているわけで、例えば僕は注射なんて中途半端な知識でやりたいと微塵も思いませんし、同じように考える人もいるでしょうから、そんな感じで安易に統合する事は不可能でしょう。
それでは運営の統一化についてはどうか。
まず一つ言えるのは、介護と保育については既に運用されている、という事です。ある程度この部分の事例を踏まえた上で今回の検討がなされているんじゃないかなと想像します。例えばこんな記事も。
新たなキャリアプラン「高齢者施設併設保育所」で働く! | 保育のお仕事レポート
こんな感じで、保育士向けのサイトでは新たなキャリアプランとして紹介されています。確かに、ここで紹介されているように、働く女性にとって目の届く範囲(同施設内)に自分の子供がいるというのは安心感がありますよね。また厚労省もこんなものを公表しています。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/other/dl/other-04.pdf
このpdfでだと、実際に運営している施設の事例を見る事も出来ます。こちらは2年前のものですから、運営の統一というのは結構早くからなされているものなんですよね。少なくとも介護と保育に関してだけ言えば、無理だとか舐めてる、なんて物言いは少しお門違いと言いますか、やってるとこはやってるよ、とあっさり返されるものでしかないわけです。
何が懸念事項なのかといえば、冒頭でも述べたようにやはり資格の統一化でしょう。
統一する事で起こる問題としては、
・既に資格をもっている人の処遇
・統一資格保持者への待遇
でしょうか。
統一された資格は、介護福祉士より、保育士より、あるいは准看護師より上位の資格として位置付けられるのでしょうか。そうであるとすれば、例えば介護福祉士の資格要件が厳しくされる事と同じように、資格取得がかなり難しいものとなるでしょう。そうなってしまえば、せっかく作られた資格であっても受験すら出来ない、という人が出てくる可能性があります。これでは意味がありません。
では、先の資格を保有している人であれば、追加の講習を受ける程度で認定される、という形であればどうでしょう。難しいでしょうね。それぞれが付け焼刃程度に出来るものではないからです。あくまで近い、似ている程度のものでしかないと考えなければなりませんから。
こう考えると、統一については資格の要件取得へのハードルの設け方が非常に重要になってくるでしょう。そして、取得した後の待遇がある程度保証されるというモチベーションの設定も同じく重要です。
簡単に取得は出来ないが不可能ではなく、頑張ればより良い待遇で働く事が出来る、という希望がもてる資格でなければなりません。ですから、医療行為はかなりハードルが高く感じますが、その分待遇を保証しやすいと考えているのかなーと勝手に想像します。
今回こうして検討されているのは、運営面では全く新しいアイディアではなく過去に近い事例がある為導入しやすく、働く人としてもある程度のハードルを越える事で良い待遇を保証しやすい、と考えられるからこそなのかと思いました。だからこそ准看護師なのかな、と。
そりゃ問題は多いですよ。事例はあるとはいえ、近いという印象が先行して語られている雰囲気はありますからね、そこの実際のギャップをどう埋めるかはかなり大変だとは思います。もしかしたら、最初に出てくる案なんてかなりトンチンカンなものかもしれない。
色々想像しますが、人手が足りないとか、運営しやすいとか、そういった理由からではなく、働く人にとってメリットが大きい、という事を感じさせてくれる魅力的な資格になる事をとても期待しています。