介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

外国人労働者を差別する介護業界

ここ数日介護報酬の件についての記事を書いてきたわけですが、そこに少し関連して。

 

比較的仕事内容のハードな、いわゆる3Kの仕事に外国人労働者の活用を、という話はありがちです。そもそも何様のつもりで外国人労働者を安く使おうとしてるんだっていうくらいの差別的な考え方だと思うんですが、介護の世界も今回の法改正に伴って、御多分に漏れずこうした力の活用をという声が出ています。

 

 

結論から言ってしまえば、介護の世界は外国人労働者に優しくないと思っています。ごくありきたりな結論のようですが、僕の考えは表現は同じでも内容は少し違っています。

 

 

この「外国人」という単語は意外と厄介な存在で、この単語一つを見ると日本人以外の全ての国の人の事を指すのですが、使われる文脈によっては外国人が差別されてしまう危険性を孕んでいます。文脈が「外国人」の指す国を選びます。

 

(僕の想像する差別認識が入ってくるので、随分と偏った見方になる可能性もあるのでその点考慮していただければと思います。)

 

 

例えば先に挙げた、介護の世界に外国人労働者を、と表現した時の「外国人」が指すのは、東南アジア、例えばフィリピンなどの国の方々である事が非常に多いように感じられます。地域によってはブラジルなど南米の方も含まれるかもしれません。

 

COOL JAPANを外国人にアピールする、と表現する時の外国人は欧米人を思い浮かべる人が多いでしょう。フランス辺りで日本のカルチャーの展示をした時に盛り上がった、というニュースが伝えられても、アジアにおいてJ-POPが普通に売れているなどの情報に関心が向けられる事は少ないです。


COLUMN: What is J-INDO?

 

例えばこの記事のように、インドネシアで日本の音楽が現地のミュージシャンに影響を与えているという話はどれだけ関心がもたれ、また知られているのか。推して知るべしといったところです。

 

 

介護においての「外国人労働者」という表現をしている時点で既に一部の地域の国の人々を指しており、無意識のうちに狭められた外国人を差別しているんです。

 

 

この事は、介護現場に外国人を、という議論が出てくると発生してくる、「言葉、文化の問題」という反対意見に集約されています。

 

 

だってそうでしょう、本来だったら大企業にいるような外国人にも同じような意見が出てくるはずですよね。でも現実には外国人も企業の中で働いていて、言葉の問題が常に付きまとうような状況ではありません。少なくとも、介護の世界で言われるように「言葉の壁が〜」などと反対する人みんなが揃って口にするような事はないはずです。

 

 

介護現場における言葉の問題?全く日本語が理解出来ない外国人を雇うんですか?さすがにそんな事はないでしょう。というか、どんな仕事においても日本語が全く出来なければ雇えないでしょう。

ちなみにもっと言えば、滑舌の悪くなった利用者の話を聞き取るのは日本人であっても難しいです。コミュニケーションが難しいのは何も外国人に限った事ではありません。

 

 

文化の問題?僕は地元を離れて介護やってますが、未だにこの地域特有の考え方だとかイベント事、料理、歴史、方言なんて大して理解してませんよ。民謡だとか演歌、童謡だって知らないものの方が圧倒的に多いです。というか、今時の日本人でこの辺を完璧に対応出来る人なんてほんのわずかしかいないのでは?と思いますが。文化が違うから、という人は多分本当に日本の文化を知り尽くした凄い人なんでしょうね。

 

 

結局のところ、介護現場への外国人労働者の雇用に反対して、その理由に言葉が〜とか文化が〜とか言ってしまう人は、自分の中にある差別意識が無意識のうちに表面に出てきている人です。そういう意味では、人に優しくなければいけないはずの介護従事者がこういう意識をもっているのだとしたら悲しいとしか言えません。

 

 

ユマニチュードのイヴ・ジネストさんが日本の介護施設に来て利用者とコミュニケーションをとるわけですが、おそらく彼の場合日本語が完璧だという事はないでしょう。通訳を通してのコミュニケーションでしょうか?でも介護として全く実践出来ていないわけではないはずです。要するにそういう事です。

 

 

僕も実際一緒に外国の人と働いてますが、業務に支障が出るくらいに困る事はないですよ。確かに多少出来ない部分はありますが、ささやかな程度の問題です。むしろ、この人の為にこうしてあげたい、ああしたいという気持ちの面では彼らの方が強いかもしれません。何よりこの仕事が好き、と純粋に言える事は素晴らしい事ではないですか?

利用者から言われたのは、話がちょっと通じない事もあるけど優しいししっかり仕事をする、という事でした。人生の先輩の意見ですからね、上っ面の反対ばかりする人より僕は信用しますよ。

 

 

冒頭で述べた結論である”介護の世界は外国人労働者に優しくない”は、言葉や文化など問題にするには小さい事を理由に反対する人がいるまだまだ受け皿として幼稚な業界だ、という考えから出したものです。

もちろん全ての介護従事者が外国人に反対している、なんて微塵も思っていませんよ。

 

 

介護をやりたい、と思う人に門戸が開けている業界でいて欲しいと思います。