介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

ネットのコミュニティは醤油を貸してくれない。

友人の結婚式を終えてから合流した某県在住の別の友人はスマホはおろかSNSなどにも手を付けず、情報源はもっぱらテレビと朝刊と少しのインターネットという、十年くらい前の生活スタイルを通している人間でした。今回会うにあたっての連絡も当然LINEではなくてキャリアメールでしたし。

ちょっとした仙人みたいな生活をしているかと言えば全然そんな事はなくて、家庭を築いて一児の父親をやっているし、最近飲み会があって、なんて話をしていたし友人がいない、あるいは友人関係が少なくて困っている、なんて事もありません。

久しぶりに会ったという事もあって懐かしい話が沢山出来て、よくそんな事覚えているな、なんて言いながら一緒に飲んでました。

 

それにしても、今は情報化社会だとか、情報に溢れている、なんて言われる時代ですが、その友人と会って話していると、本当にそうかな、と疑問を感じます。多分情報というのは昔から同じように世の中に溢れていたもので、時代が進むにつれて、特にインターネットとスマホが普及してからは情報への窓口が爆発的に広がっただけでしかないんですよね。

もっと言えば、情報が溢れていると感じている時点で情報の取捨選択が出来ていない受け身な人間なんだなと思います。新聞とテレビ、なんていう一見情報弱者かのような友人は、自分に必要な情報とその情報源を選び取れている時点でおそらく多くのスマホユーザーより情報に対して能動的です。

 

人間関係も同様で、下手にSNSだとかをやっていない分自分の手の届く範囲で自分の居心地の良い場所を構築している印象でした。無理に新しい関係性を求めるわけでもなく。一生懸命自分の居場所を確保するかのようにネット上でコミュニティを作る、参加する人なんかよりずっと能動的に感じました。

 

人によっては、新しい人と出会う刺激がないんじゃないか、とも感じるかもしれません。でも、どうなんでしょうね。少し前までは直接挨拶しない事に眉を顰めていた世代の人が今やFacebookで朝の挨拶のやり取りをしていたりするわけで、そういうのを目にすると無理してる感じだとか、頑張ってる感じがして何だか滑稽にすら感じます。行き過ぎたネット上のコミュニティはネットに作らされている感すら漂います。

 

そういうところに力を使うのであれば、その分実際に手を差し伸べてくれるような関係性を身近に作る方がよっぽど大事だと思います。ご近所付き合いってやつですね。


チームラボ猪子氏「ご近所付き合いなんて、今さら必要?」 マンションコミュニティを考える会でぶっちゃける | ログミー[o_O]

今朝この記事を読んでいて改めて友人の人間関係の構築について考えさせられました。

 

この記事では場所とコミュニティの関係についてよく語られていて、

猪子:大前提として、人類は歴史上ずっと場所が先に在った。場所に物理的制約があって、そこからコミュニティが生まれたんですね。

近現代に交通や移動ができるようになって、都市部で場所に依存するコミュニティは低下しましたよね。今度はネットワーク社会ができて、究極的に場所に全く依存せず人はネットワークを作れるようになったわけです。

場所からコミュニティが生まれるというのは幻想ですよね、近代以前から100万年続いたんで、その幻想がいまだに残っていて。実際、20世紀後半に比べて、今日現在ここにいるほとんどの人は、15年前に比べてコミュニュティを持っている率は高いと思うんです。

人間関係で、今、連絡が出来る人が15年前より減っている人なんて絶対いないんです。今ここにいる人が全員コミュニティに入っていて、はるかに昔より入っているんです。だからコミュニティはあるんです。少なくとも15年前より。30年前に比べてコミュニティは増えているんです。 だから別に、あるよって話。

とまあこんなふうに語られているパネラーがいらっしゃるわけです。この意見自体、結構同意する面もあるんですが、同意しかねる部分もあって。

というのは、ネットでのコミュニティって、同じあるいは近い意見や考え方の人が集まったり、趣味が同じ人がお互いの自己満足感を満たしたりと、僕には精神的な面での繋がりを感じる事が多いです。で、それは自己完結していたものを解放するという点においてとても有用で、それこそがネット上でのコミュニティの面白さだなと思うんですが、でもこれって今の段階である程度出来上がっていて、あまり未来志向でないように感じます。というか、今だからこそ場所とコミュニティの関係性が進んでいかなればいけないのだと感じています。

 

僕は介護士ですから、介護系のニュースなんかがよく目につくわけですが、今は法改正に伴った議論の中で地域の中で高齢者を支えていく、あるいはボランティアを活用する、という流れになっています。色んな背景がある話ですが、この辺の話ってつまるところご近所付き合い的な構築し、活用していきたいという国の考え方が背景にあるものなんだと思っています。

場所に依存しないコミュニティは人生を豊かにするかもしれませんが、慌てて醤油を借りに行けるわけじゃないし、孤独死を見つけられるわけでもないんです。

これからのテクノロジーの発展は場所とコミュニティの繋がりをどうフォローしていくか

が一番の鍵になるんじゃないか、と思います。

 

 

ネット上のコミュニティなどに精通している方の意見とそれに全く参加していない人を並べて考えたら、より実体を伴ったコミュニティをネットがどうサポートしていけるかが一つの鍵なのではないでしょうか。そして何より、高齢者の人口が増えていくこれからの日本社会の問題点にテクノロジーが生かされるよう発展してほしいものです。