介護士は空気を読める盛りたて役であれ。
この2日間観てたNHKのハートネットの特集、変わる障害者支援が面白いです。障害者、あるいは高齢者の自己決定権をどこまで尊重するのか、という実践が紹介されていて見応えがあります。誰もがいきなり取り入れられるものかと言えばそれは難しいと思いますが、まず本人がどう思っているか、というのを聞くのは絶対必要ですよね。
ところで、昨日の記事ではありますがこれがなかなか面白かったです。
「加齢による衰え」について信じられている6つの誤った通説について - GIGAZINE
とりあえずこの間違った通説6つを抜粋すると、
通説1:歳をとると気分の減退が起こるものである
通説2:認知力の低下は避けられない
通説3:歳をとると生産性が落ちる
通説4:独り寂しくなりがちである
通説5:年齢とともにクリエイティビティが低下する
通説6:運動は、いくらでも多くするほうがよい
って感じです。おそらく介護関係の仕事をされている方からすると何を今更、っていう内容が多いんではないでしょうか。
どれも周りの人が盛り立てる事で高齢者が避けていけるものです。通説6だけはちょっと毛色が違うから別ですかね。
例えば通説1については、極端に言えば周りが具体的な事象を取り上げて煽てるだけでも気分の減退は避けられます。
通説2であれば周りの人間が新しく興味をひきそうなものを提示すればいい。あるいは提示し続ける。
通説3も同様で、持ち上げ方次第です。
通説4のように寂しさを感じさせないようにするには、周りに介護士などが寄り添う事です。それこそユマニチュードなどの手法ではないですが、タッチングなどを駆使しながら真摯に寄り添う事が必要でしょう。
通説5のようなクリエイティビティは、天才的な発明などを引き合いに出す事はありませんが、それでも通説2と同じで周りが新しいチャレンジなどを提示する事がその発端となるかもしれません。
これだけ書くと随分介護士が前のめりに頑張る感じが前面に出てしまってますが、全然そんな事ないです。冒頭に挙げたハートネットでも解説者の方が言っていましたが、選択しないという選択肢もあるのです。何でも提示したものを選ばせるべきではないでしょう。
だから、介護士は空気を読める盛りたて役でなければならないのです。
空気を読む、という言葉にはあまり良いイメージがないような気がしますし、何より僕も嫌いですがあえて使ったので補足をします。
どんな表情をしているか、目線がどうか、どんなリアクションをしているか、何を喋っているか(あるいは拒否するような叫び声などを上げていないか)、身振り手振りはどうか、そもそも無視されていないか、などを察知する事がここで言う空気を読む、です。
いくら自分で提案しても相手が興味をひかなければまるで意味ないですからね。あくまで主役は高齢者だ、という視点から盛りたて役という表現をしました。
読めば読むほどごく当たり前の事のようにしか思えないんですが、意外とこれが出来ない、なんて事が多い事。
介護現場の話にしてしまっているので狭い範囲での話になってしまっていますが、結構どんな場面でもあり得る事です。自分が考える事に一人悦に浸って、そもそもその受け取り手がどう思うかを考えない、なんて事よくありますよね。相手がどう捉えるか、その視点抜きには何事も伝わりません。
あくまでも主役は提示する介護士ではなく、それを選ぶ利用者です。そうであれば、どういう選択をしたにしても、その”選んだ”という行為そのものを盛り立てていくのが介護士の仕事なのかな、と思います。
どれだけ利用者が自分で選択して行動する機会を増やしていけるか。そしてその先、自主的に行動を起こせるような支援をしていけるか。選択肢の提示は大事ですが、いつまでも選ばせている状況にするのではなく、自分で考えて行動出来るところまで利用者が自発的になるよう支援していくまでが僕たちの仕事の一つなのかな、と今日はテレビやらから思ったのでした。