介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

サッカー日本代表対オーストラリアより見入ってしまったブラインドサッカーで感じたあれこれ。

こんばんは。昨日は散歩が認知の予防に有益である、というところから記事を書きましたが、早速今日はその利用者を散歩に連れ出してみました。

認知症予防への散歩の効果から自分を戒めて。 - 介護士こじらせ系

 

多少声を荒げたり道を歩く人に急に絡んで怪訝な顔をされたりと若干ヒヤヒヤさせられましたが、やっぱりいいものです。寒くなっていきますが、それでも時々は連れ出せれば良いなと思いました。

 

さて、そんな今日はサッカー日本代表の試合、対オーストラリア戦がありましたね。結果としては2−1での勝利でしたが、締めるべきところを締められない甘さが少し気になりましたね。特にケーヒルには何度やられるんだ、と。

 

ただ今日は普段より試合を観ていた訳ではありませんでした。同じ時間帯に、ブラインドサッカーの世界選手権 日本対モロッコのユーストリームでの配信がありまして、テレビと並行して観ていたんですが結局そちらが面白くて。色々発見だったり、気づかされる事があったのでそれについて書いていこうと思います。存在は知っていたんですが実際の試合を観たのは今日が初めてでした。

 ブラインドサッカー障がい者スポーツの一つでして、一言で言ってしまえば名前の通り視覚障がい者向けのサッカーです。コートはフットサルと同じようなサイズで、ゴールキーパー以外はアイマスクを付けて試合を行います。フィールドプレーヤーは4人。スローイン、キックインはなく、壁際でもボールの奪い合いが展開されます。ボールには鈴が入っていて、フィールドプレーヤーはその鈴の音と監督やコーチの指示に従って動きます。

その他正確なルールはこちらから。


ブラインドサッカーのルール | 日本ブラインドサッカー協会|Blind soccer

 

普通のサッカー、フットサルとは違う、面白い発見が色々とあったので羅列していきます。

 

・試合中観客がとても静かである

➡️鈴の音とかけ声が試合の生命線ですからね、当然ですよね。アナウンスでも静かにするよう訴えていましたし。

・接触プレーが非常に多い

➡️真っ暗な中を突撃していくようなものですからね。見えない人通しがそれなりのスピードでぶつかり合うわけですから、その衝撃は軽いものではないでしょう。実際、痣だらけになるようですね。

・ボールタッチが細かい

➡️一歩一歩走るごとにボールに触っていましたね。全く見えないのにあんなに細かくタッチ出来るのには驚きました。

・攻撃は基本的に一人がドリブルで切り込む

 ➡️正確なパス出しはほぼ期待出来ないというのもありますからね。1対3ないし4という場面が何度となく観られました。普通のサッカーであれば相当難しい場面なんですが、音だけを頼りにするので結構かわせていました。戦術によるのでしょうが、前線に出る選手はローテーションしていくのかな?と思いました。またサイドで行き詰まった時に逆サイドに展開する事が結構あって、ある程度の位置まで別の選手が攻め上がってボールを受ける、なんて場面もありました。

逆接的ですが、小学生のサッカーのようにディフェンスがボールに群がるのも印象的でした。もっとも、わずかな音を頼りにプレーヤーがボールに近寄れる、という事自体が凄い事だし、上記のようにオフェンス時の連携はあまり期待出来ないのでディフェンスとしては最善なのかもしれません。

・壁の効果的な使い方

➡️キーパーからリスタートする時に選手が壁に背を付けてボールを受ける場面が多かったです。サッカーやフットサルでも同じようにサイドに広がってボールを受ける事はありますが、視界0のフィールドプレーヤーがプレーエリアを意図的に狭めるのはより理にかなっていました。

こういう場面に限らず、例えばボールホルダーを追いかける際には、通常のフィールドに対して壁際ではかなり厳しくディフェンスしていました。

・バウンドの効果的な使い方

➡️要するに音の立て方です。キーパーからのリスタートではプレーヤーに届くまでに何度かバウンドを重ねて音から軌道が察知出来るようにしていましたし、また逆にディフェンスに追いつめられた時には逆サイドにボールを浮かせて展開する事でプレーを一度リセットさせていました。

・音の使い方

➡️リスタート時、レフェリーがボールを手にして揺らしたり、踏んだりして音を鳴らしてプレーヤーに位置を確認させたり、呼んだりしていました。

またPKの時ですが、コーチャー(?)が左右のポストを叩いてキッカーに枠の幅を知らせていました。それだけで分かるとか凄過ぎますよね。ちなみに、キッカーによってポストを叩く高さが違うのは何か意味があるんでしょうか?

・選手の誘導について

➡️ここが唯一プレーヤーが視覚障がい者だと認識させられる場面だったともいえます。レフェリーの交代選手に対しての誘導とか手引きは福祉の世界を思い起こさせる場面でしたからね。逆に言うと、プレー中はあんまりそういうふうに意識する事はなかったです。

 

随分ダラダラと書きましたが、それでも何か忘れたような気がします。メモ取りながら試合観てれば良かった。多分おかしいところも結構あるのではないでしょうか?

障がい者スポーツだから、とか、福祉に関わっているから、というような目線で観るようなものでは全然なかったです。あんまり言及するものでもないですが、某有名チャリティー番組みたいに、障がいをもっていても頑張ってる、みたいな上から目線で観るものじゃないです。あれは紛れもなく選手のトレーニングの賜物だし、健常者である僕らがやったって絶対に出来ない。

 

 

ブラインドサッカーって、色んな示唆にとんだスポーツだなーと思いました。

 

サッカーというチームスポーツでありながら、目隠しされ真っ暗な中でボールを追いかけ、ゴールを狙う様は個人スポーツのようでもあります。敵はもちろんですが、時には味方同士がボールを競り合う事もあったりして、しっかりコミュニケーションを取ったり周りの声に耳を傾けなければフィールドプレーヤー全てが敵のようにもなります。

 

さながら日常の人間関係の縮図のようでもあります。

 

自ら勇気をもって、一人敵の懐に飛び込んでいく様、周りの状況を判断して目の前の人間が敵か味方か判断する事、向かうべき方向を周りからアドバイスされながら自己判断して動く事、そして何より一人で闘っているようで実はチームメイトや監督、コーチなどに支えられているという事。

 

新入社員の企業研修とかでも活用されているそうですが、凄く分かる気がします。単なるレクリエーションに終わらない側面がたくさん垣間見えます。

 

明日も試合があるので、同じくユーストリームで観ようと思います。対フランス戦です。次は得点に期待したいな。

 

もうちょい続きがあるので二つに分けて書きます。次は一応福祉関係者っぽい事を。

 

続きはこちら。

 

「障がい者スポーツ」という言葉の違和感。 - 介護士こじらせ系