介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

認知症当事者が自ら動き、決めていく事とパーソン・センタード・ケア。

こんばんは。スマホについて今日、質問をされて答えていたんですが、大して詳しくもない僕でも何となく返答出来る内容だったのでちょっと驚きでした。何かやらかしたんじゃないかと心配で心配で…なんて言われるものですから。ごく普通に家庭を築かれている方でもスマホ一つに振り回されてしまうのは怖いなーと思ったのでした。

 

先月の終わりですが、NHKでかなり興味深い番組を放送していたようですね。

 


NHK【ETV特集】私たち抜きに私たちのことを決めないで ~初期認知症と生きる~ 2014年9月20日(土)夜11時、再放送:2014年9月27日(土)午前0時00分(金曜深夜)

 

さすがはNHK、ドキュメンタリーにかけられる予算もかなり高いと聞いた事がありますが、これは見逃したのがかなり痛いなーと思ってしまう内容ですね。きっかけはこちらの記事を偶然見つけたからでした。


《1623》 私たち抜きに私たちのことを決めないで! - 町医者だから言いたい! - アピタル(医療・健康)

 

認知症のことは、認知症の人だけがわかる。

考えてみればそのとおりです。
失恋の辛さは失恋した人だけがわかる。
がんの痛みは、がんの人だけがわかる、のと同じ。

辛いこと、不便なことは、当人がいちばんわかっているのです。
そんな当たり前のことがわかったのは実はつい最近なのです。
認知症だから何も分らない、ではないのです。

認知症だから、本人がいちばんわかっている。
だからどんな助けが必要なのかも本人がいちばんわかっている。
認知症の人の施策を、認知症の人が自ら決めていました。

 

 いや、本当この通りだな、と思います。認知症だと診断される時の気持ちは本人にしか分かり得ないものがあるでしょう。うちの利用者のカルテには、診断後何度も「死にたい」とこぼしていたと書かれている方がいました。多分このように思う方は本当にたくさんいる事でしょう。

まだ、ご家族がその事実を受け入れて介護されるのであればまだ良い方なのかもしれません。過去に読んだこんな記事もあります。


若年性アルツハイマーの診断を受け仕事を退職した日の晩、私と母を支えていく自信がないと離婚を切り出されました。 | 気団ログ

 

かなり生々しい、読んでいて胸が苦しくなるような2chのまとめ記事です。悲しいのは悪人が誰もいなくて、様々な感情が渦巻いているところですね。

実際こうした認知症原因の離婚問題というのは限られた特殊な例ではないようで、


若年性認知症になった夫と離婚するには、 - 厳選 離婚弁護士ナビQ&A

 

こんな記事もあったりします。何とも言えない鬱蒼とした気持ちになってしまいます。

 

この2chまとめの記事の方の場合は、たまたま匿名掲示板という場で本音をさらけ出した相談が出来たからこそある程度の行動をとる事が出来たんでしょうが、そうでない方々は誰にも相談出来ないままにふさぎ込んでいくのかもしれませんね。一気に負のサイクルにはまり込んでいくようなものです。

 

そういった意味で、冒頭で取り上げた、スコットランドを発端とした認知症の方が自ら認知症についての制度などを決めていくという取り組みにはその取り組み以上の意義を感じます。

 

この中でも紹介されているように、日本で同じように活動しているNPOがあるそうです。


NPOその人を中心としたケア(パーソン・センタード・ケア)を考える会

パーソン・センタード・ケアとは?

 パーソン・センタード・ケアは,認知症をもつ人を一人の“人”として尊重し,その人の視点や立場に立って理解し,ケアを行おうとする認知症ケアの考え方です.この考え方を提唱した英国の故トム・キットウッドは,当時の業務中心のケアに対して,人中心のケアの重要性を主張し,世界的に大きな影響を与えました.
 ケアの目標は,清潔や安全であることだけでしょうか?とくに認知症がある場合は,一人ひとり異なる認知機能や健康の状態,性格,人生歴,周囲の人間関係など,その人の個別性をふまえ,また関わりを通して,その人が今どのような体験をし,どう感じているか,周囲の人が理解し,支えようとすることが大切ではないでしょうか.

 

 恥ずかしながら全く知りませんでした。

 

以前も記事にしましたが、ネットでいざ介護関係の情報を調べようとすると結局業界の批判やら愚痴やらでこういった前向きな情報が少数派になってしまっているのが一番ダメなところだと思っています。しょうもない。

 

台風やらニュースやらでグチグチだがそれがいけない。 - 介護士こじらせ系

介護のネットリテラシー - 介護士こじらせ系

 

いずれにしても、改めて要介護者当人の気持ちにどれだけ寄り添えるかという、ごくごく当然の事実に立ち向かっているという意味で業界として進歩出来ていないのでは?と感じさせられるのでした。とりあえずまずは、パーソン・センタード・ケアという概念や取り組みについては追いかけていけたら、と思います。

 

 

 

ちなみに、

先週、「徘徊するほど認知症は改善する」と説いて回りましたが、
自分の直感がスコットランドの研究成果で正しいとわかりました。
日本でも同様の取り組みが始まっていて、参加したいと思いました。 

 という文章が、先の記事(《1623》 私たち抜きに私たちのことを決めないで! - 町医者だから言いたい! - アピタル(医療・健康))にありましたが、また改めて徘徊タクシーの事を思い出しました。

 

徘徊タクシー

徘徊タクシー

 

 この辺もしつこく貼付けていきますよ。