介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

「断る技術」を介護で考えたらモヤッとするばかりだった。

こんばんは。台風の影響で休みとなった月曜日が公休扱いになった事でシフト上の休みであった明日もそのまま休みになりました。そんなわけで今日は自宅で一人飲んだくれています。平日休みというのはなんだかんだいって人と予定が合わせにくくて不便な面が多いですが、他の人が仕事の為に早々と休む中、妙な優越感とともに堂々と休めるところが数少ない利点だなと思えます。平日の昼からビールを飲む、なんて最高の贅沢の一つですよね。

 

 

はてブから、こんな記事を読みました。

 


これからの商売にはあえて『断る技術』が必要 | クリーニング屋が伝える上手なご家庭洗濯のブログ

 

こういう考え方自体は大して目新しいものではないです。なんですが、それでももの凄く同意します。自分たちが相応のサービスや商品を提供出来なかったら断りを入れる、というのは、目先の売り上げを考えれば問題ですが、長期的な目線でいけば代わりに「信頼」という無料の対価を顧客に与える事が出来ます。

 

僕が受けた接客で一番感動したのはBEAMS原宿での接客です。確かホワイトハウスコックスの名刺ケースを探している時だったと思いますが、ショーケースにお目当てのものがなかった時に、その時対応してくれた店員が「ユナイテッドアローズさんならありますよ」と近隣のライバル店を勧めてくれた事があったんです。僕も当時アパレル系の接客のアルバイトをしていましたが、それでもこれには驚きましたねー。僕の中では、お客さんとのやり取りの中で真のニーズを探り出して自分たちの商品からそれに合う物を提案する、が最大級のサービスだと思ってましたから。で、どうしても合わないならしょうがない、と諦める、がセオリーでした。バイト程度の、レベルが低い考え方だなーと今更ながらに思います。

上記の記事でのサービスはユナイテッドアローズですが、この辺りの大手セレクトショップではこれくらいのサービス、つまり接客したお客さんにとっての最大の利益を、例え自分たちの直近の売り上げに繋がろうが繋がらなかろうが追求する、というのが当たり前なのかもしれません。

 

確か伊集院光だったと思いますが、昔某テレビ番組でこんなエピソードを紹介してました。

 

ちょっとしたブランド物などの商品を買う時には必ず最初に出かけるデパートがある。そこでは自分たちの店舗でその商品を探してくれるだけでなく、もし見つからない場合はそこの店員が近くの他のデパートに電話をして商品を探し、その場で商品を確保してくれる。そこまでのサービスをしてくれるからこそ、絶対的にそこを信頼している。

 

というようなエピソードだったと思います。ここまでくると逆に心配になるくらいの徹底ぶりですよね。

 

とにもかくにも、これからのサービスは目の前のお客さんにとって最大限の利益をどのようにして提供出来るか、が鍵となるという話なわけです。

 

 

僕の今の仕事はデイサービス勤務の介護職なので、介護業界、デイサービスなど通所介護にこの話を当てはめて考えてみます。だって、入所施設なんて順番待ちの断り上等ですからね。ちょっとズレてしまいますし。

 

これはうちの地域だけでなくおそらくどこでもそうだと思いますが、介護の世界は新規参入が多くて、今は特に大手の企業が新規事業として介護業界に参入するなど競争は激化の一途を辿るばかりです。高齢化社会だと叫ばれる昨今ですが、それでも提供エリア内での高齢者を文字通り取り合うような状態です。

例えばうちの施設のある地域で言えば、うちの施設から徒歩圏内のお宅に別のデイサービスの送迎車がしょっちゅう走り回っていて、時にはうちの目の前を走り抜けていきます。他の施設も、うちの送迎車が走っていれば同じ気持ちになるのではないでしょうか。つまり、うちにこないで別の施設を使うなんて、と。

ご存知のようにこの業界はサービス受給者に直接アプローチするだけでなく、ケアマネから紹介されて、というのも同じく一般的な営業手段になるので一筋縄にいくものではありませんから、上記のような事はいくらでもありえる話ではあるのですが。

 

そんな取り合いの状況ですから、基本的に紹介されれば受け入れる前提、まずは来ていただいてみる、断るなんてもってのほか、という状況になります。もちろんケアマネが考えなしに受け入れの依頼をするわけではないのは重々承知していますが、それでも施設側からしたら自分たちの施設、設備でどう受け入れるかが基本姿勢になります。

見方によってはこれって、僕がアルバイト時代に考えていたのと大差ない考え方になっちゃうんですよね。うーむ。

 

 

結局のところ、ケアマネなどの評価に繋がるのがサービスの質であるのとは裏腹に、収益の為には数をこなさなければならないという決定的なギャップがある事が最大の原因ですよね。質が数字として評価されないという。この手の話は色々なブログや記事でも書かれている事ではあります。まあこの辺はいいサービスを提供して利用者のQOLが向上し介護度が下がった結果収入が下がる、というような致命的な制度上の欠陥の話になったりと更に込み入った話になるのでやめます…。

 

分かりやすい質の示し方としては、

・施設の独自性をはっきり打ち出す

・過去の実例を元に如何に利用者、家族に満足してもらえたかを詳細に情報発信する

というような事くらいでしょうか。

 

前者については、以前取り上げたお酒が飲めるデイサービス、のように極端に尖ったものでなくても、分かりやすく差別化出来るものを打ち出すのが一つの手段になるでしょうか。

介護と酒 - 介護士こじらせ系

 

後者については、ケアマネだけでなく高齢者を抱える家族に向けて、この施設でならこういったサービスが受けられ、充実感を味わえ、機能回復などが望める、満足感が得られる、と想像してもらえる点が重要なポイントになってきます。パンフレットなどはもちろん、ブログやホームページは活用次第ですが重要なツールになると思います。

 

 

とまあ、「断る技術」について考えてきたのに結果は「まだまだ断れない」というところに落ち着きそうです。それは、この業界の性なのか、あるいは業界全体がそうした段階にいけてないだけなのか。モヤッとするばかりなのでした。