介護士こじらせ系

Bandcampとユマニチュードが気になる介護職の雑記です。

介護職が向き合う徘徊

こんばんは。発売日には近所の書店に置いてなくて少しがっかりしましたが、ようやく購入しました、現実脱出論。

 

現実脱出論 (講談社現代新書)

現実脱出論 (講談社現代新書)

 

 講談社現代新書の中でも初めての色の反転したこの本の存在感は、実際に書店で見ると一目瞭然。ぱっと見ですぐ見つけられました。まだ読んでませんが、凄く楽しみ。

 

ちょっと前に徘徊タクシーを読んだばかりなので、この人の本をここまで短期間で読めるのは嬉しいです。すげー好きなんですよ。

 

徘徊タクシー

徘徊タクシー

 

 んで、今日は徘徊について。今日朝のお迎えに伺ったら、いつもの待ち合わせ場所と違う場所に、しかもご家族しかいなくて、本人が先に出てしまったとおっしゃる。もの凄く慌てましたが、偶々視界に入る場所にいらしたのでそこまで車で向かって事なきを得ました。僕がどうとか、誰が悪いとか、そういう話ではないですが冷や汗ものでした。

徘徊は大きな社会問題としても存在していて、例えば、


NHK NEWS WEB 明らかになった認知症の行方不明者1万人

だとか、


近隣市町村共同は3割 認知症徘徊対策、仕組みづくり急務 | カナロコ

なんて記事が出てきます。

そもそも徘徊って?と改めて調べてみると、こうしたページが出てきました。


認知症 「徘徊」と呼ばれる行動|ディペックス・ジャパン

 

ここの内容が徘徊の説明だけでなく、実際に徘徊する方の介護を行った方の体験談が載せられていて興味深かったです。ただもちろん、徘徊する高齢者を介護する家族、の目線からのものばかりで、僕のような介護スタッフとしては参考として見る、というくらいのものかなーって印象です。後で読んでおこうかな。

 

 

では、デイサービスだとか、介護施設のスタッフが利用者の徘徊にどう向き合えばいいのか。

 

うちに関して言えば、「近くに知ってるお店があるから」とおっしゃり何かと外に出たがり、かつ実際ある程度土地勘もあるのか方向とかはお分かりになるのでそこまで行きたがるのですが、今存在していない場所の事をおっしゃるので毎回いなして散歩を行い、デイサービスに戻っていただくというのが恒例になってます。

 

うちは基本的にマンツーマンに近い形でやってますが、それでも必ず一人取られるのは負担として小さくはないです。もしちょっとでもトラブルが発生したらアウトですからね。その方が以前通われていたデイサービスは規模が大きく、そうした形で付き添うには限界だったようです。昨日書いたように、小規模だからなんとかやれる、というような範囲なのかもしれません。

 

デイサービスは狭い方が良い? - 介護士こじらせ系

 

 

その方に関して言えば、うちを利用し始めてまだ日数が短いので様子見しつつ、一日一回散歩に出る、それ以外のデイルームで過ごされる時間になるべく体力を使うような活動が出来るようにする、というかなり大まかな方向性だけを決めました。これからもう少し、つめられていく事でしょう。

 

理論的な話であったり、一般論でのデイサービススタッフが行うべき対応というのは、ある程度ネットで検索するだけでもそれなりに出てきます。利用者の行動を否定するような言い方ではなく、いなし、うまく誘導する事で徘徊を防ぐ。適度に付き合いつつ戻るよう誘導する。などなど。もっと出るでしょうが、やめておきます。

大原則として、事故を発生させない、というのが出てきます。当然といえば当然ですね。以前参加した勉強会で、多少転倒するようなことがあったとしてもその人がやりたい、と思う事を優先してあげることでQOLを高める、というニュアンスの話を聞いた事があります。(これでもちょっとニュアンスが伝わりにくいかも)大賛成なんですが、理解が得られないと難しいです。

 

現場側も現場側で、徘徊される方とコミュニケーションを取りながら、あるいは行動パターンを見ながら、徘徊する理由だとか、その背景なんかを時間をかけてあぶり出していかなければならないのかなと僕は今のところ思ってます。

 

面白い試みだな、と思ったものを一つ。


平成22年12月特集 利用者さんがいなくなった! 緊急時のための助け合い訓練 徘徊ネットワーク・ドキュメンタリー|愛媛県の総合介護情報サイト『メディカサイト』

近隣の公共機関などと連携していなくなった利用者を探すネットワークを構築する訓練の様子です。ごくごくたまに、FAXで行方不明者として情報が流れてくる事はありますが、本来ならここまでアクティブに動いて捜索するくらいがいいのかもしれませんね。

 

別の訓練にて、ですが、徘徊者役の方の記事を。


徘徊模擬訓練 | 2014年7月 | デイサービス 古き良き一丁目

 

「徘徊タクシー」のように、じっくりとことん徘徊に付き合うのも一つの形ですが、僕たちのような介護職の人間にとっては、ミクロの視点から徘徊に至るまでの部分でとことん利用者と向き合わなければならないのだなーと思った次第です。